2023.10.14

北陸新幹線に乗って上越妙高へ向かった。目的は友人に会うため。長いこと「行く行く」と伝えていたが、ようやく重い腰を上げて向かうことにしたのだった。長いこと家で働いていたのでリフレッシュも兼ねて。

しかし実際には週末の2日間仕事ができなくなるわけで、それをやっつけておくためにギリギリまで仕事をすることになった。結局3時間くらいしか寝られなかった。

 

北陸新幹線に乗るのは初めて。と思っていたら、長野駅のアナウンスが出た時に、以前長野県立美術館に行くために新幹線に乗ったことを思い出した。これだったのか、と思った。なので今回は2回目。線路側を向いている萩の月の広告がやたら目についた。
 埼玉方面に向かっているとき、窓から遠くのビルや家がやたら美しく見えた瞬間があった。心がとても穏やかになった。そんなことは久しぶりだった。

 

上越妙高へは長野県を経由して2時間程度でつく。思ったより近かった。友人たちが駅前まで向かいに来てくれていた。まずは友人Sがおすすめの回転寿司屋へ。そこに向かい道中で「ここらは車がないと生活できないよ」と話していたことを思い出した。本当にそうだ。街の密度が車を所有していることを前提としている。「きときと」という回転寿司は、どれも新鮮で身がしっかりしていて、本当においしかった。東京のそれとは全然違う。

 

寿司を食べてからは釣りをするために海へ向かった。宿が30分くらい離れたところで、釣りもそこからそう遠くないところですることにした。奇跡的によく晴れた日で、海も穏やかで本当にきれいだった。足元には丸っこい石ころがたくさん転がっていて、「このあたりは翡翠が取れるんだよ」ともうひとりの友人Yが言った。
 Yは釣りに慣れていて、今回の釣り道具や餌もすべて準備してくれた。本当にありがたかった。穴釣りという種類の釣りをやろうと、レクチャーまでしてくれた。テトラポットの隙間みたいなところへ餌をつけた釣り針を落とし、海底からちょっとのところでキープすると釣れるという。実際に試してみると、すぐにちょんちょんと魚が餌をつつく感触が手に伝わってきて楽しい。魚とコミュニケーションを取っているみたいだ(とはいえ、それは餌だけを食べられているということなのでぜんぜん良いことではない)。

 

3時間くらい釣りをしてみて、私は小さいハコフグを6匹くらいと、カサゴを2匹釣ることができた。カサゴのうち1匹は食べられるくらい大きかったので、持って帰り、それ以外はすべてリリースした。友人のうちで一番大きいのを釣ったのはSで、30cmを超えるキジハタという魚を釣りあげていた。

 

日が暮れてきたので釣りを切り上げて、エアービーアンドビーで取った民宿へ向かった。おばあちゃんの家みたいな一軒家で、最大で9人まで泊まれるという。荷物や釣った魚を置いてからスーパー銭湯へ。途中スーパーに寄ると、なぜかあらゆるお惣菜が6割引になっていて、喜んでいっぱい買ってしまった。からあげ、トルティーヤ、サンドイッチなど。おにぎりも20円になっていて、いっぱい買った。本当にこの街はどうしてしまったんだろうと思った。
 風呂上がりに夕食を食べようと向かったお店が入れなかったので、晩ごはんはお惣菜パーティーになった。冷凍のぎょうざも焼いたし、アンパンマンポテトも温めた。軽くお酒も飲んだ。それぞれの人生について話をした。みんな何らかの事情は抱えていて、そして変化しようとするちょっとした起点みたいなものを感じた。数年後にはどうなっているのか分からない。楽しみでもあり悲哀でもある。もっと若いときには分からなかった人生の動き方みたいなものが最近分かってきて、それを老いと呼ぶのだろうと思った。もう若さだけでは済まされない年齢になってきている。

 

寝不足と疲れと満腹感で猛烈な睡魔に襲われて、歯磨きもせずに眠ってしまった。夜中には貨物列車の通る音と胃もたれで何度か目が覚めた。胃もたれは強烈だった。確実に老いている、と思った。