2023.9.30

家で仕事をしてから、山形で暮らしている友達と夜ご飯を食べた。大岩食堂というカレー屋さんで3種のカレーセットを注文した。「レバーとハツのカレー」というのがあって、それがおいしかった。カリフラワーの炒めものも美味。
大人になって良かったなと思うことが、2軒目に行くということの喜びで、今日もカレーを食べてからお茶をしに外に出た。外の空気は最近、本当に気持ちが良い。どこまでも行けちゃいそうなくらい。私たちは次にどこに行くかなんとなく考えながら辺りをふらふらとする。お酒がないほうが、そして少人数のほうが2軒目に行くのは楽しいような気がしている。

 

西荻はいろいろと喫茶店もあるけれど、友人が行ったことがないと言うのでデニーズへ行くことにした。

 

夜8時前のデニーズは思いの外空いていて、すぐに入ることができた。ガストにもよく行くが、ガストと比べるとデニーズは内装が落ち着いているし、ドリンクバーを含めて各所が清潔な感じがする。窓際の席に案内され、エドワード・ホッパーの「ナイト・ホークス」みたいだ、と思った。
さて、デニーズと言えばパフェである。基本的にはデビルズブラウニーパフェを頼むようにしているが、いまは期間限定でシャインマスカットのものが出ている。マスカットのソルベが食べたかったので、私はちいさいパフェとドリンクバーを頼んだ。友人も同じのにしていた。2軒目で食べるならソルベやシャーベットみたいなさらっとしていてスッと消えるものが良い。クリーム系は重すぎるような気がした。ただ、そう思うようになったのは歳をとったからかもしれない。それにアイスティーを合わせる。
今年の夏はアイスティーにハマった。こんなにおいしい飲み物があるなんて。ミルクや砂糖を入れてもいいし、アイスコーヒーよりも身体は楽な感じがするし、なんでこれまで飲んでこなかったんだろう。

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翌日にこれを書いている。今年の夏を振り返ってみると、変化の夏だったと思った。それくらい今年はいろんなことがあった。辛いことが多かったが、その分自分を見つめるきっかけにはなったと思う。生活を生活として成立させたり、心身の健康について思いを巡らせる日々だったと思う。こうして日記も書くようになったし。ものを書いたり、デザインをするようになってから私の作ったものが私自身を支えているような気がしている。坂口恭平、千葉雅也、金原ひとみの書くものの影響を強く受けた。そして、最近は保坂和志の本を読んでいる。興味深い一文があった。

 

「誰の人生でも、人生とは自分を高めるためにあるのだと私は思う。(中略)小説家は、だから、小説を使って自分を高めなければならない。新人賞やナントカ文学賞をとることが目的ではない。どんなに小説が売れようが、賞をもらおうが、一作書くごとに、自分がレベルアップしていく実感がなければ小説を書く意味がない。自分をレベルアップさせていくのは大変ではあっても、その大変さを知るのは歓びでもあるのだ。」

 

私は自分を高めることがすべてではないと思う。むしろ何もしないことや、今のままの場所に留まることの大事さやそうせざるを得ない状況についてよく知っている。ただ、どの世界に生きていても自分を高めるという「希望」はあるのだと本を読んでいて思った。結局のところ、自分の中や周りの人たちとの関わりの間にしか本当の意味は存在しない。権威やお金にはあまり意味がないのである。そういう意味でこの本は錨のようであり、灯台のようでもあると思った。