大きな蟻(9/8)

久しぶりに仕事のない日。先週から昨日にかけて忙しさMAXで、フリーの仕事、アシスタントでバタバタと一日が終わっていく... 昨日でフリーの仕事がひとまず手元からなくなり、アシスタント仕事も早く上がれたので余裕があった。それで個人的なメールなんかを一通り送れたので、ちょっと安心。

そして今日はKAATで『近松心中物語』。横浜までは1時間強かかる。長い移動は好き。移動するための時間は仕方ない時間だし、その割にいろいろなことができる。そして何もしないことにも言い訳が立つ。あと、経験的に、移動することで何か良いことが起こるということも分かってるんじゃないかと思う。大学までほとんど自転車移動だったから、電車に乗るのは特別な日だけだった。東京ではもはや毎日のように乗っているけれど、それも中央線だからずっと楽しんで乗っている。

前の会社へは3年間中央線で通ったけれど、その間に興味本位で中央線から見える場所を歩いてみたことがある。例えば代々木のあたり。急な坂や猫の額みたいに小さい公園を歩いてみた。すると、それから中央線でその場所を見下ろすたびに自分がかつてそこにいた、確かにいた、という記憶のようなもの、あるいはちょっとした感動が体のどこかから生まれる。それは結構不思議な感覚で、過去の自分と場所が今につながっていることが分かるような... なんとも言い表しがたいものがある。

そういうわけで、ただ歩くということも悪いものじゃない。歩くことで私は土地を理解し、それは記憶にはっきりと残る。脳のしわにしっかりと足跡を残す。そうやって何年も過ごしてきた。