大きな蟻(8/20)

寝不足のせいか気が重く、嫌なことばかり考えてしまった。昼過ぎから銀座で友人に会う。メゾンエルメスの展示を一緒に見た後、ルノアールでお茶をした。アイスコーヒーを飲んだ。その後に出てくるあたたかい梅昆布茶を密かに楽しみにしていたのに、飲んでみたらただの緑茶だった。ルノアールアイデンティティは最後に出てくるあたたかい梅昆布茶だと思う。ああ、嫌なことばかりだ。

あまりに嫌なことを考えてしまうので、嫌なことリストを作ることにした。人生で起こった嫌なことを箇条書きにするのだ。
今日考えすぎてしまうことは、ひと月ほど前の授業で年上の同級生に唐突にキレられたこと。タメ口で話していたことが気に食わないらしい。あんまりだな、と思ったし、年上なのにみっともないと思った。とはいえ、誰にでも許せないことは一つくらいはあるものだ。
しかし、こうして理性で判断して受け止めることはできても、そのキレられの衝撃は身体に残るもので、割とトラウマっぽく何かにつけて思いだしてしまう。学校面倒だな、人間と話したくねえなとさえ思ってしまう(これから彼と積極的に会話することはないにしろ)。その克服のために、まずは嫌な経験を記述することで外部化してみようというわけだ。

実際に書いてみると、その場面をありありと思い出してしまうので進んで書く気が出ない、ということがあった。しかし同時にすがすがしさもあって、悪いものでもない。人に話をするよりもすっきりの効果は大きいような。書いたものは何度か読み返してみる。どんどん外部に個人的な経験を明け渡していくのである。そうすることで自分から離れる、ということができて楽になるのではないか。他のいろんな経験も下に書き連ねてみようと思った。