大きな蟻(7/8)

寝る前に田尻久子さんの『みぎわに立って』を開いた。先週青山ブックセンターで買ったもの。無意識に熊本の本を選んでいた。

夜遅いので数ページしか読んでいないが、唐突に昔のことを思い出してしまった。特に書店でバイトをしていた時のこと。お客さんの顔。話し方。姿勢の悪い背中。

なんであそこでバイトしようと思ったんだっけ、と思った。それまでは塾のバイトをしていた。かま、それはなかなかハードで、働き続けることがしんどかった。それで、当時近所で一番楽しいと思っていた場所で働くことにした。タイミングよく「バイト募集」の貼り紙がしてあったし。

福岡の友達とメールしていて「熊本のデザイン系の人たちが募金を集めているよ」と教えてくれ、すぐに1000円寄付した。なんでも100万円目標で始めたはずが、もう1000万円に到達しようとしているらしい。友だちは「熊本地震のときに学んだことが活きているし、震災で福島から引っ越してきた人たちもいる。過去の経験があって、早くに対応を始められているんじゃないかな」と感動していた。遠いし、仕事もあるし、生活もあるからできることは限られてくるけど、できる範囲でやれることをやっていければいいと思っている。ちょっとした寄付でいい、「シェアする」を押すだけでいい、あるいは、それを知っていればいい。無関心だけは避けたいと思う。想像力を駆使して、遠くの苦しみの助けに少しでもなれたらいい。