大きな蟻(6/15)

久々に会社に行くと、机の上が物で溢れている。いつもこうで、新入社員の時から社内の印刷物の大半に目を通す役目になっているから、印刷所からの見本がすべて僕の机に置かれる。僕の出社の頻度は課の社員の中でも下から二番目くらいだから、必然的に山盛りになってしまう。山盛りポテトだ。ガストの山盛りポテトですら今は恋しい。ちょい盛りポテトでは物足りない。

会社にいる間は常に忙しない。それは会社でしかできないことを溜めていたから。主に本を動かす仕事をまとめてやることになる。重版見本の処理をしたり、ゲラを印刷したり、ものを発送したりする。その合間に少しだけ人としゃべる。隣の席の先輩は、はじめはなかなか喋ってくれなかったが今では仲良く話せる。僕くらいの歳の息子がいたはずだ。元々、ぼそぼそと話すのでちょっと聞こえづらいのだが、いまはマスクをしてるから余計に聞こえづらい。でも会話はわざわざ聞き返すほどの内容ではなかったりするので、三回に一回くらい聞き返している。どっちにしてもちょっと申し訳ない気持ちになる。

演劇系の先輩に「写真撮って」と言われる。その人の写真ではなく、雑誌の物撮り。「ぼく古い方のiPhoneSEですけど...」と伝えるも、「iPhoneSEってとっても画質いいから!」と何故かSEのカメラを絶賛していたので、撮ることにする。先輩に日差し避けの紙を持ってもらいつつ、何枚か撮る。「ここが映るように!」などと指示も入って本格的。その後Photoshopで加工して送ってあげた。

『ストレイト・アウタ・コンプトン』がいい映画で、あらゆるシーンでちょっとずつ泣きながら鑑賞。僕の生まれた頃は今よりもずっと黒人への抑圧がすごかったことがよく分かった。なにせ、道に立ってるだけで取り調べを受け、拳銃を突きつけられるのだ。そして、その延長上にblacklivesmatterもある。
僕はブルーハーツが流れる家で育ったからか、差別に対して強い反発心がある。『青空』という歌が強く印象に残っている。フェアじゃないものは許されない。
関係ない話だけど、伊藤詩織さんへ少額だけどドネーションをした。裁判の資金などに当てられるらしい。寄付って気持ちいい。がんばって働いていてよかったな〜と思える。