大きな蟻(4/15)

今日は夜の授業がなくなった。なので日中予定していた美術館に行くのを拡張してせわしなく歩き回ることにした。

小村雪岱スタイル(三井記念美術館)→TDC2021(ggg)→落穂を拾う 木村裕治展(g8ギャラリー)→WORLD BOOK DESIGN AWARD 2020(印刷博物館)→かもめブックス→世界堂新宿本店の順。

 

小村雪岱は画家・装丁家。なんの仕事をするいつの人か分かっていなかったが、1920年頃に27歳で泉鏡花に抜擢され、装幀をすることになったという。その仕事がかなりよかった。とても美しいのだ。彼の描くパターン、イラストの構図、形...どれをとってもすばらしく、感動して泣きそうになった。

 

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斧琴菊はオークションサイトより、龍蜂集・新柳集は新装版が復刊されていたので国書刊行会のウェブサイトから拝借した。

 

装幀の仕事には何かしらかの美が必要であると私は考える。中身を読んでから買えない以上、文章の放つ光を蓄えて放つようなものでなくてはいけないと思うからだ。もちろん一般的なデザインの考え方とは違うような気もするが、「美」は不可欠だと私は考えるのだ。

 

TDCはたくさんいいものがあっておもしろい。基本的には毎年あるし、無料だし、かっこいいものがたくさん見れるので死ぬまで続いてほしいなと思う。自分も会員になったらなんか出してみたいな。

 

「落穂を拾う」は『Esquire』『翼の王国』などのアートディレクター木村裕治の展示。作品を展示する形式ではなくて、とにかく壁一面のグラフィックといろんな人からの寄稿などなど... 大きなハサミで紙を切っては並べてレイアウトをしていた方だそう。興味深い。長崎訓子さんらの寄稿も時代を感じさせるものでおもしろかった。私は体験したくないが、男のロマンチシズムみたいなものが強固な時代というのもあったんだなあと思う。眉をひそめてしまうが。

 

世界のブックデザイン展は各国の"よい"デザインが一覧できる。エディトリアルと製本に関して知見を与えられるような展示。キャプションを読んでいると「ここがいい」ということがたくさん書いてあって、それだけの判断力を身につけているのが純粋にすごい。

私はよいデザインというのがまだ何かわからない。そもそも、何かを評すること/判断することが苦手、というかあまり行ってこなかった。意識したのは大学生になって実家を出てから、19とか20くらいの頃だろうか。食べ物はなんでもおいしく食べられてしまうのである。

①好き嫌い ②(それとは別に)良し悪し くらいは考えて生きていきたい。判断するというのは責任を持つこと、引き受けるということである。時代はこの判断するということから離れつつあるが(SNSとインターネットの匿名性による)、私はむしろ背負わねばならぬと考えている。人によっては当たり前のことかもしれないけど、私にはなかなかうまくできないことの一つでもある。

デザインを勉強し仕事にするというのはこれに対する試みでもある気がする。これまでの勉強/仕事は匿名でも成立し、特に社会的な意志も必要なかった。

 

今週、「構成」の授業でデザインとはなんだと思うか、考えてくださいと言われた。全員が回答するのだが、私はこう書いた。

 

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かもめブックスでは『料理の意味とその手立て』『好きに食べたい』を買い、世界堂では水彩絵画用の道具一式を購入した。11,026円。いよいよバイトしないとなぁ。