2023.9.4

「ああ、自転車にカバーをかけるのを忘れていた」と頭の中で軽く後悔した。日付が変わったあたりから急に雨が降り出していた。天気予報のアプリを見ると今日は一日中雨らしい。バラバラバラ、という雨の音がしだいにジャージャーというような、まとまった音に変わっていく。家にいる時にふる雨は好きだ。守られているような感じがするから。そのまま眠った。

起きたら雨は降っていなかった。家で作業をしたり、打ち合わせをし、少し動きたくなってきたので外に出てみた。家から南の方へ歩き、それから駅前へ。なるべく歩いたことのない道を散歩する。そうしたら黒い猫が通りを選挙しているのを見つけた。首輪はしてなくて、目には目やにが少し溜まっていた。私は手を猫の鼻のほうにさしだしてOKをもらってから、少しだけ触らせてもらった。頬のあたり、額、背中から尻尾の付け根。ほんの1分にも満たない時間だったけれど、ちょうど後ろを親子が自転車で走って通り過ぎていった。「あ、ねえクロ」「ほんとだ」そう話しているのが聞こえて、ほんの少しだけ申し訳ないような気持ちになってその場を離れた。猫に「ありがとね」と小さい声で伝えた。

気圧のせいかあまり頭が回らず夕方から昼寝をしてしまった。そろそろ原稿を書かなければいけない、と思って何冊か本を取り出した。自分で自分に課しているだけのエッセイ。いざ書き始めようとすると少し身体がこわばる。書き方がまだ身についていないから。炭酸水が切れたので、近くのセブンイレブンまで買いに行って、ついでにチョコレートを買って帰ってきた。