呪いの言葉というものは本当にある。いま仕事で組んだゲラをチェックしていたら「落ちてる」という言葉がふと頭のなかに浮かんできて、そうかこれはあの言葉か、と思った。数年前、人つてに、ある編集者が私のことを「落ちましたね」と言っていたと聞いたことを思い出した。それを言われていること自体にも、そしてそれを伝えられたことにもショックを受けた。意義を申し立てたが、少し逃げられたように感じた。仕方ないので、私はそれを飲み込むことにした。
普段あまり思い出さないようにしているし忘れている。けれどふとした時に浮かんでくる。この「浮かんでくる」は死んだ魚が浮かんでくるみたいに浮かんでくる。頭ではなく、体が覚えている。私は忘れっぽいが、それでもすべて覚えているんだ。
今日でコロナ４日目。今日は10時過ぎに起き、『リリイシュシュのすべて』の残りを観た。私は岩井俊二を通っていなかったので。映像のテキスチャーが懐かしいように感じる。「痛い」映画だなと思ったが、それ以上の感慨はあまりなかった。しかしながら他の作品も続けて観たい。
少しだけ組版の続きをする。95％くらいOK、というところで一度プリントアウト。その合間にカップ焼きそばを作って食べる。年に数回無性に食べたくなる瞬間がある。昨晩のお米の残りをおにぎりにしていたので、それも食べた。友達から来てたLINEを返す。坂口恭平さんと山下澄人さんのスペースを聞く。
組んだ文章をチェックしようと思っていたら、思わずうとうとしてしまいベッドに横になる。次に気づいたら22時過ぎだった。やはり体がコロナウイルスと戦って疲れているのかもしれない。かかったのは２回目。今回は味覚障害がなくて非常に助かっている。あと、抗体があるのか症状も比較的軽めだ。もうほとんど普段と変わりない。
夜まで寝ていただけだったけど夕飯は食べておこうかなと思い、ピーマン・玉ねぎ・もやしを炒めたものをご飯とワンプレートにして食べた。カレー用に買ったらっきょうも一緒に。らっきょうを初めて食べたのは子供の頃のおばあちゃんちで、自家製の強烈な酸っぱさが苦手だった。でも大人になってから食べてみたら食感がおいしくて、それからは福神漬よりもらっきょう派になった。
それから組み確認の作業をして、明け方にゲラを送った。
