大きな蟻(5/30)

土曜日。昼過ぎに、引越しする会社の元先輩に会いに自転車で中野へ。約束していた本を渡しに行った。

先輩はめちゃくちゃ元気そうで、僕まで明るい気持ちになった。まだ気を緩めずにお互いにマスクをしたまま話す。

先輩は、引っ越したら釣りをやろうかな〜と言ってて、いいですね僕もやりたいですよ、と夢が膨らんだ。先輩は川釣り、僕は海釣り派だ。先輩は地元である福島の実家に帰るからどっちもできる。

話はDIY精神、坂口恭平、山下陽光、手で何かを作ること、海外で暮らすこと、ローカルから動く、などすごく盛り上がった。自分の手で作ることで実感と自信が欲しい、と話していた。先輩は、全能感を溢れさせて子供をたくさんつくりたい、と話していて笑った。
次にやることをかなり迷っているらしく、料理もやりたいし工作もやりたい、ワードプレスもやりたいとやりたい尽くし。あまりにふらふらしているので、「先輩が本気でやるなら料理と本しかないですよ」と僕は断言した。方向性が決まったよ、となんとなく納得してくれた。なので僕は先輩に、なんでもいいけど作ったものの写真を送ってください、とお願いした。

ここに来て、先輩は僕の盟友であるかのように見えてくる。邪魔なものがすべて取り払われたような感覚。僕は先輩と一生関係してくんだろう、という絶対の自信が出てきた。別れだが寂しさより楽しみが勝る。
「会社辞めるって言ってから、アラジンのジニーみたいな気持ちだったよ! 最後の「もうランプから出て行っていい」と言われるシーン。竜巻みたいに空に舞い上がっていくんだ」と、会社を辞めた感想を聞いてからさよならした。分かるような気がする。
次に会うのはいつになるだろうか。先輩との出会いは僕が東京に出てきてよかったことの一つだ。これからお互いがどうなってくのか全然分からないのがわくわくする。
先輩に渡した本は『漂うままに島に着き』と「バイトやめる学校』。

夜はリモート映画観賞会。「プロジェクトA」を観る。その後、板橋兄弟のバチカでのライブイベントをみんなで鑑賞した。クラブに行きたくなる。500円だけドネートした。一人が誕生日で、各々がケーキを買ってきて画面越しにお祝いをした。
その後、いい感じの話をした。フェミニズム、感覚が合わなくなってきた昔の友達、テラスハウス、不幸なSNS、人間中心のテクノロジー、デザインと本とテレビの近況、自分の仕事と社会性...
スリリングでおもしろかった。こういう会話ができる場所はなかなかなくて、だからこそ大事にしたい。


深夜2時すぎまで話し、終わるとすぐに眠ってしまった。