大きな蟻(4/27)

雨の中を自転車で走った。雨が降っているのに自転車に乗るのはつらい、どんどん濡れてくし顔に雨粒が当たると前が見えない。
道端に大きなゴミが捨てられていた。赤い。ちゃんと見るとそれはかけ布団だった。かけ布団が水をたくさん含んでいるところは初めて見た。僕が見るときはいつも脱水されている。
水を含んだかけ布団は、これ以上ないくらいに水で膨らんでいた。ちょっと指で押してみたい。そしたら、じゅわっと冷たい水が湧き出してきて指をもっと濡らすだろう。厚揚げをジューシーに煮たものを想起させた。箸で、じゅわぁ。
その布団に飛び込んでみたらどうだろうと考えた。ものすごく柔らかいだろう。でも、同時にとてつもなく濡れることになるだろう。その柔らかな気持ちいいイメージと濡れて不快なイメージを天秤にかける。一回くらい飛び込んでみようかとも思ったけれど、もはやかけ布団はかなり後ろに行ってしまった。

雨の中、引き返してまですることではない。いつか夢に見れたらいい。