大きな蟻(5/6)

10日ほど前、私は隣の空き地でたんぽぽを摘んだ。家に飾ろうと思ったのだ。
空いている小瓶に花弁の白いたんぽぽを入れ、窓辺に置いておいた。歯磨きをするときなどに目に入って快い。リモートワークになってから、世間の人たちが花を買う理由もよくわかる。
しかし、次の日になってみると花はもう枯れていた。花びらなどは萎み、ぎゅっと固そうに見えた。まあ、摘んでしまったのだから無理はない。むしろかわいそうなことをしたと思った。何日かしたら捨ててしまおう。

今日ふとたんぽぽを見ると、なんとまんまるの綿毛になっていた。てっきり枯れてしまったと思っていたものが、生きていたのだ。
生物の生々しさに触れてすこし不気味な気持ちと、心のなかの晴れやかな気持ちがないまぜになった。いや、しかしびっくりしてしまった。後で外に戻してやろうと思う。