深く穴を掘ることの困難さ

深く穴を掘ることの困難さ

 

穴を掘ったことはあるだろうか。

僕は、ある。それは小学六年生のとき。

 

友達と秘密基地を作っていた僕たちは、突然、穴を掘ろうぜということになった。

 

だからスコップとか持ってきて頑張って掘った。

 

でも、穴って全然深くならないのだ。

まっすぐ下には掘れなくなるからだ。

 

結局悪戦苦闘して、自分たちの肩くらいまで掘ったところで秘密基地作りは解散してしまったのだけれど

 

穴を掘ることの難しさだけが僕の心にぽっかりと口を開けている。

 

考えることって穴を掘ることに似ていると思うのは間違いだろうか

 

僕は穴を深く掘ることが苦手だ。

いつも浅い穴ばかりぽこぽこ掘っている。しかも穴を掘る時は書いたり声に出したりしてしまう。これはずるだよね。

 

だからなるべく深く掘れるように、訓練をしようと思ったんだ。

 

なんだっていい、あることについてひたすらじっとりとして離れてはいけない。

しかも手も口も動かしてはいけないのだ。

 

すると、普段軽く回っていた頭の中身が、歪になって回れないのだ。

 

くるしい、くるしいと悲鳴をあげる。

油をさしてよ、と悲鳴をあげる。

 

苦しむのは鍛えてる証拠だと思って、少し嫌な笑いを浮かべながらそれを続けてみた。

 

 

深い穴を掘るのは困難なことだ。