大きな蟻(7/4)

朝起きて家事もろもろ。選挙に行って、お昼は冷やし中華的なものを作ってあげた。

バタバタと家を出、大好きな「J COOK」へ。今日はお肉のランチにした。本当においしい。そして陽の光がきもちいい。6人組のお客さんが大声で話していて、少し気になった。何か言ってやりたいが、彼らからしても言われる筋合いはないであろう。少しくらい、周囲を気にしてもいいものなのに。

それからスイムスーツデパートメントで友人への誕生日プレゼントを買い、自分用に島根の小皿を買った。古いものらしい。しばし、スタッフさんと談笑。

それから展示を観に「EUKARYOTE」へ。海野林太郎さんの展示を見る。3階建てのこじんまりとしたギャラリーだったが、ハンドメイド感がよかった。展示もおもしろく、シュールさと謎の味わいがあった。映像と立体が中心。

 

それから友人の待つ銀座へ。gggとg8ギャラリー、資生堂ギャラリーを見る。ggg浅葉克己さん主催の「スポーツグラフィック」展。ほとんどが広告で、やはりデザインの花形は広告なのだと再確認。個人的な好みの問題だが、アイデアどん!や、これおもしろいでしょ?的な広告にはもはや惹かれなくなってしまった。ユーモアは好きだけど、それを誇示する態度はつまらないと感じる。伝わらなくてもいい、という諦めの態度が品性なのではないか。そういう意味では、最近の日清の広告には辟易している。最近の広告は衆愚化しているように感じる。

やはり「美」がなくては、と私は考える。好きだったのは、サントリーのウーロン茶の広告、浅葉克己さんの卓球番組の広告とビタミン剤の広告、また田中一光さんの冬季五輪のグラフィックも素晴らしかった。自分の好みがわかるという点でこういう展示はおもしろい。

資生堂ギャラリーは二度目。私は〈目〉が大好きなので、何度でも観てしまう。ギャラリーのスタッフの方にお話を聞いていたら、みんなに置いていかれそうになって焦った。

〈目〉と杉戸洋さん、中村竜治さんの話を伺って、すごくうれしかった。みんな、めちゃくちゃおもしろいことを考えている。そんなこと考えているのか!という喜びを叫びたくなった。また見に行くんだろうなと確信している。

 

こうやって友人といろんな場所に行き、いろんな話をすると、みんな全然別の人間だということが分かる。私が本や美術が好きでそれらに最大限の好意と敬意を持っているのに対し、別の友人は電博といった広告代理店に対して憧れを抱いているようだった。クラスメイトにはそういう人が多く、大きいもの・有名なものはやっぱり人気のよう。同級生に博報堂に勤めている人がいるが、「(博報堂の)名刺がほしいな〜」と言う人がいるくらい、何か憧れの対象になっているみたいである。会社という肩書きがその人自身の魅力になってしまうのは、こわいことだと思う。

それは「高収入男子と結婚したい」とか「料理のできる美人と結婚したい」みたいな、単純な数少ないものさしですべてを語ろうとする恐ろしさがあると思う。本当は他者に対する見方なんて無数に存在する。なのに収入や見た目、所属先といった、多くの人が高価値だと判断する基準に画一化されてしまう。これは能力主義にも通じるところがあるし、何より世の中の多様性に反する。その基準に反するものが淘汰されてしまう。

 

うだうだ御託を並べましたが、結局「おれはそんなの好きじゃないな〜〜デカさだけで何かを判断するなんてつまらないな〜〜」と言いたかったのです。局地的なもの、見えないもの、小さなものにも、同じように価値や意味が宿ると、私は信じたい。

生き方の問題として、相対する価値観の人を否定しない、という態度を取り続けたいと思っています。でも、今日はじめて対話をしてみたいなと感じた。相手の考えや立場を知りたい、啓発はしない、ただ自分のために知りたい。自分のなかにオープンな場所をもつこと、相手を招き入れることにも挑戦してみたいと感じました。