決戦は日曜日(入試は明日)

明日は決戦である。入試の日だ。

11月くらいに唐突に思いついて、デザインの専門学校を受けることに決めた。デザインの勉強がしてみたいのだ。この考えはぼんやりと大学3年くらいのときからあったような気がする。しかし「まあデザインの勉強って自分でもできるよな」みたいな理由でそのまま放置していた。当時もAdobeとは契約してて、なんとなく物を作ったりしていた。

その後、制作部って名前の部署だし本のデザインぽいこともできるんじゃね? という安易な発想で中堅出版社の制作部に入社した。実際にインデザイン(頁もののデザインをするときに使うソフト)を使った作業はさせてもらえて、そのほかにもフリーペーパーとかバナーとか簡単なデザイン仕事は任せてもらえるようになった。それにデザイン部の人といろいろ話せる環境になり、刺激の多い環境にはなった気がする。有名な装幀家の人たちにも出会えた。憧れの出版業界、さすがである。
でも、インデザインは多少使えるようになってもデザインのことはそんなに学べなかった。3年間在籍して、仕事で必要なスキルのおよそ7割くらいは身についてしまった。それは学ぶのが早いわけではなく本当に限られた部分しか使わないからだ。その領域の狭さは、たまたま外部の人と仕事をしてみて改めて実感した。かと言ってデザイン部に行くのもしっくりこない。小手先ではなく、やはりデザインの根幹から学びたいと思うのだ。

同時に出版への関わり方も模索していた。いまみたいな仕事のやり方でいいのか。現状、私の役回りは、社内的には優秀な立ち回りを見せるがスキルは替えのきく人物だ。実際、入社後すこしして「君は将来管理職に就けるからね」と言われていた。それは本望ではないことが分かってきた。スキルは凡庸で会社に固有な存在ってのは私じゃなくてもいい。そうありたい人がそこに居るべきだ。そのポストを守る、あるいは会社のために働けるタイプではなかった。出版業界は応援したいけど、別にこの会社でこの立場じゃなくていいのだ。一緒に働く人はみんな良い人だったけど、本当に大事な人は辞めてからも付き合い続けられる。なら、もっと自分が楽しく、楽でいられる仕事をしたい。そろそろ30歳も見えてきてるし、早めに決めたい。

ということでうだうだ悩んでいる時に天啓のようにあのアイデアが閃いた。私は本のデザインをやりたかったのだ。それが11月上旬くらいで、2週間後の課題提出のために急いで準備をした。なんとか提出して、12月に自己推薦入試の面接を受けるもあっさり落選。凹んだ。
しかしやっぱり行きたいからと申し込んだ一般入試。明日が試験日です。まともにデッサンなんてしたことなかったけど、この2ヶ月くらいだけ勉強した。初めは独学で、でもその後にやっぱりデッサン教室に通って。「付け焼き刃」と友人に茶化されつつ、それでも本気だと私は言いたい。これは本気の付け焼き刃である。本気で焼いた刀は意外と痛いかもしれない。熱いうちに相手をぶっ叩くのだ。斬れなくても、本気でぶつことで相手を唸らせたい。決戦は日曜日、すなわち明日である。いや、もう今日か。