じょんするめ

いろんな記事を気まぐれに書きます。イイムラヒロキより。

笑うおばあちゃんのはなし

先日、僕が1番近いコンビニで買い物をしてから家までの帰り道を歩いていると、そこには笑うおばあちゃんがいた。

笑うおばあちゃんだ。

世の中には色々なおばあちゃんがいる。
長生きなおばあちゃん、優しいおばあちゃん、腰の曲がってしまったおばあちゃん。
だから笑うおばあちゃんくらい珍しくないだろうと思うかもしれない。


しかし、この笑うおばあちゃんは、明らかに他の追随を許さないタイプの笑うおばあちゃんだったのだ。


視界に笑うおばあちゃんが入った時、笑うおばあちゃんは坂道をこちらへ下って来ていた。

「あははははは、あーっはっはっは。」

ん、笑っているぞ。
僕は笑っているという現象をそんなに重く受け止めてはいなかった。

大方、電話でもしているんだろうと思ったからだった。

「あひゃひゃひゃひゃ、あははは。」

お、まだ笑っている。
僕は意識的に彼女が電話をしているか探る。

していないじゃないか。
あれ、これはおかしいぞ。笑うおばあちゃんの背後に、さっと視線を走らせる。

誰もいない。
どう考えても、1人で、笑っている。


「なるほど。」
何かに窮して、納得もしていないのに思わず呟いてしまった。

その間も笑うおばあちゃんは笑い続ける。
「おほほ、あひゃひゃひゃ、あはははははは。」


「あはは、何言ってんのよあははははは。」

そして、笑うおばあちゃんは1人で話し、笑いながら僕の脇を通り過ぎていった。

僕は見てないふりをしてやり過ごそうと思った。



彼女は通り過ぎた。若干ビビっていた僕は通り過ぎる笑い声に安堵していて、
「ああいう人もいるよね。」
そう話を落ち着けたかった。



が、しかし。

突然笑い声が止んだのだ。
あれ?
どうしても振り返りたい。そんな衝動にかられる。しかし一方で振り返ってはいけない、と何かに言われている気がしていた。

人は好奇心に勝てない。
脳内の危険信号を無視して、僕は振り返った。

そこには。


笑うおばあちゃんが嫌らしく口元をニヤつかせて立っていたのだった。


その目は笑っていなかった。