石を集めた
子供の頃、石を集めていた。
別に特に珍しい石じゃないのだけれど、僕にとってそれらはとても大切できらきらしてみえていた。
近所で拾った大きな石を拾っては割り、まだ見ぬ大発見をその内に求めた。
一見無骨な石でも内側は意外ときらきらしているもんだよ
そんな石たちは僕の勉強机の引き出しに溜まっていき、重みを増していった。
何がきっかけかは忘れちゃったけど、中学生のときに集めた石を全部捨ててしまった。
多分僕にとって、宝石じゃない、自分だけの石は、価値を持たなくなっちゃったんだろう。
それから、しばらく時間が経って、最近になって、僕は自分の好みの石を取り戻したいと思った。
失ったものを再び手に入れるのは割に難しいらしい。
そういうわけで僕はいま、この文章を書いたりしているのだ。