エッセイ

季節変わり

以下の文章はイエローページ vol.13に掲載する予定だったものです。 ------------------------------------------------ 季節変わり 2021/3/21 会社を辞める。今月で会社を辞めるのだ。こう書くと急に決めて、いきなり上司に退職届を叩きつけたようだけれど…

歩くことでネジは巻かれるのだ

今日は21時過ぎまで仕事をして、いい加減疲れたから帰ることにした。エレベーターに一人で乗って地上に降りる。あんなに高いところに立つことができて、仕事をしているなんて不思議だ。スケスケのガラスだったら宙に浮いているように見える。裏口から外に出…

お昼は何食べたんですか?

「お昼は何食べたんですか?」と私が聞く時、それは話すことがないのではなく、単純にその人が何を食べたのか気になってる。無理に話さなくても、と怪訝な顔を示し、愛想のない返事をされることも多々あった。しかし、そうではない。私は真剣にお昼に何を食…

いま生きているという冒険

私は受験をしている。7年ぶりのことだ。デザインの専門学校に入りたいと思っている。1ヶ月くらい前に決心した。突然のアイデアだったが、それは雷のように私を打った。すべてがつながったように感じた。それだけが答えだったのだ。翌週には上司に辞意を伝え…

ちいさな公民館をつくる──メルマガのはじめ方とその感想

「メールマガジン、やってみようかな...」私は突然思いついた。 自分と自分に近い人たちが文章を書き、それを読みたい人に送る。お金がほしいわけでもないし、有名になりたいわけでもない。 ただ、これまでフリーペーパーを書いたりデザインすることがあって…

イエローページ・覚え書き

最近、イエローページという名前でメルマガを始めた。まだvol.1を出しただけだけど。 メルマガ「イエローページ」をはじめます。月1回毎月25日ごろ配信です。内容は書き手の身の回りのことや考えたことについて。第一回は3人が書く予定。ゆっくりと、細く長…

(さらっと)2019年読んで良かった本

いまさらながら2019年に読んで特によかった本を書き記します。とは言うものの、頑張って書こうとすると面倒くさくなってくるのでさらっと紹介します。あんまり頑張って勧めないので、読んだひとのフィーリングでチェックしてみてください。 今年は約150冊…

ぼくと彼のあいだには

この文章は青山ブックセンター本店で開催した選書フェア「揺れる少年たち」の特別冊子に寄稿したものです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 朴という友だちがいる。 朴は中学が一緒で、3年生の途中にぼくのいるバスケ部に入ってきた。「本…

青山

ぼくは歩くのが好きで、時間に余裕があるときには電車には乗らずに歩いて移動することが多い。例えば、先日クリスチャン・ボルタンスキーの展示を観に、乃木坂の国立新美術館に行った。ほとんど初めて観たボルタンスキーの作品は圧巻、ぼくはうかつにもうる…

ベイク・マイ・デイ

早起きできた日はサンドイッチを作って会社に行くんだけど今日はできなかった。ま、お昼はなんか買って食べればいいや、と開き直って来たのは先週発見したパン屋さん。 「bake my day」と店先に掲げられていて店名かと思っていたけど、どうやら違うみたいで…

約束を破るのあと

約束を破られたことを文章にしてしばらく経ったいま、読み返した。書いた内容が結構恥ずかしくて顔が熱くなった。いまにして思えばそんなにたいしたことじゃない気がしてくる。 たぶん普段だとこのまま忘れて、今までと本当に同じように接することができる。…

約束を破る

約束を破られた。ぼくは悲しい。 友だちとライブに行く約束をしていたのに破られた。オールナイトのイベントに行こうと思って、ぼくはチケットを取っていた。友だちとは楽しみだねって言いあったし、言葉以上にぼくはすごく楽しみにしていた。 でもイベント…

無題の生活2

ちょっと恋人と離れて暮らしている。一年ほどほとんど同じ家に住んでいた。けれど、先月行った瀬戸内旅行のあとくらいから、お互い相手へのストレスが見えるようになってきてしまった。なんだか、息苦しいのだ。 一緒にいることをちょっと休憩してはどうか、…

無題の生活1

人と一緒に暮らすってことは、ほんとうに大変なことだなぁと思う。一年くらい前から他人と同じ家に住むようになった。他人といってもとても仲がいいので、もはや他人ではないのだけれど、どこまでいっても結局自分ではない、という一つの切なさがある。これ…

宇宙 ラオス ルアンパバーン

「ラオスにいったい何があるんだよ」と僕が冗談じゃなくて本気で聞き返したのは、長屋が突然「ラオスに行こう」と誘ってきたからだった。僕と長屋は大学の食堂で遅めの昼ごはんを食べていた。びっくりするかもしれないんやけど、で始めて、彼は言った。 「象…

茶碗と愛

恋人と半年以上暮らしてきたが、つい最近まで僕の食器は一つも無かった。普段使うコップや皿、茶碗などは全て恋人や、恋人の家族のものを使ってきた。考えなしに、ただそこにあったから、当たり前のように使ってしまっていた。自然と使っていたので、僕は恋…

昔、家の隣に雑木林があった

僕の実家の隣には、雑木林があった。僕の実家は茨城県の水戸市というところにある。水戸は県庁所在地なのでそれなりの規模の都市ではあったが、地方都市特有のどんよりとした閉塞的な空気が街全体に漂っていた。どこにも出ていけないような、どこに行っても…

ビニール傘を忘れた後で思った

誰でも一回は傘を忘れた経験があると思う。 それは電車の中だったり、喫茶店だったり、はたまた出先の本屋だったりする。 今日みたいに1日中雨が降る日は、1日中傘を使うから、傘を忘れることはほとんどない。 危ないのは雨のち晴れの日とか、朝から雨が降…

『君の名前で僕を呼んで』から連想される断片的な事柄

今日、新宿武蔵野館で『君の名前で僕を呼んで』を観た。一番後ろの席の真ん中付近で観たので、映写室の窓から出る光を近くに感じながら鑑賞した。実に良い映画だった。何度も泣いた。個人的にはこの映画のテーマの1つは「輝かしい青春が過ぎ去ってしまい二…

トイプードルもフンをする

僕は、大学の卒業研究の発表が3/9に控えている。進捗は悪い。同期の中でぶっちぎりで悪い。1月までサボって別のことに熱中していたからだ。天使と悪魔で言えば天使、つまりは清らかな方の自分には悪いことをしたと思っている。すみませんでした。 年の瀬く…

屋上〜中学の階段まで(escape sequence)

屋上が好きという話は前に書いた。 iimuramura.hatenablog.com なんと、最近、新しく屋上を見つけたので行くようになった。 それは僕の通っている大学の屋上だ。灯台下暗しというやつで今まで一度も気づかなかった。僕の研究室がある建物の外階段を上がり、…

無題

昨日は1日休まる時がなかった気がする。 どこにいてもリラックスできなかったのだ。 寝落ちて10時半ごろに起床、午前中に配達予定の荷物を受け取るべく待機していた。12時を過ぎてもこないので、昼食にスパゲティを茹で始めた。そしたらピンポーンとチャイム…

寝付けない時の眠り方

眠れない夜を経験したことのない人は恐らくいないだろう。そして多くの人がそれをすごく不快というか、厄介だと思ってるに違いない。そして、お母さんから教わったり、ネットで調べたりして眠れるようになる術を持ってるに違いない。今回は、僕が眠れない夜…

贈り物としての本

いまは午前2時47分。 借りてる8畳のアパートにある自分の机に向かってこれを書いている。 久々に文章でも書こうかなと思ったのは、星野源が著したエッセイ「いのちの車窓から」を読んで自分もこういうの書きたいと思ったからではない。彼の文筆家として…

石を集めた

小さい頃はさまざまなものを集めていた。 瓶コーラの王冠、傷ついたパチンコ玉、校庭の砂の中のキラキラ。 とにかく興味のあるものは拾ってみた。気に入れば家に持って帰って飽きずにそれを眺めた。 中でもたくさん集めたものは、石だ。 石?と聞き返される…

屋上に登れ

屋上は好きか? 世の中の人の80%くらいはこの質問にイエスと答えるに違いない。そのくらいみんな屋上が好きだ。なぜか分からないけど。 例外になく僕も屋上が好きだ。 はっきりと覚えている中で、一番最初に屋上に登ったのは小学五年生の時。僕は児童会(生徒…

10月(金がないのでメルカリ出品)

唐突にこんなこと言うのもなんなんだけど、お金がない。 思い当たる節はいくつもある。 就活で東京に行くのに交通費がかさんだ。自炊をサボってすき家で3種のチーズ牛丼を食べていた。夏休みに2回海外旅行に行った。家計簿をつけてなかった。お金を使う計画…

日常的食べ歩きの勧め

世の中は生きづらい。 仕事は憂鬱であることが多いし、人間関係だって結構めんどうだ。 それでも、僕らは楽しく生きたいと願う。日常を少し楽しくしていきたいと。 僕が今日おすすめしたいのが「日常的食べ歩き」だ。 日常的食べ歩きとは 僕はここで日常的食…

凹みやすく生きにくい人への提案

情けない話だけど、僕はとても凹みやすい。人との間で起こる諸々のトラブルに対して無抵抗に打ちのめされちゃうのだ。それは例えば、自分の知らないとこで言われる文句・ディスだったり、上司からの怒られることだったり、あるいは第三者からの優しさのない…

断捨離最高最低最高

最近、部屋を綺麗にしたくてひたすら要らないものを捨てている。 まずはじめに、部屋の段ボールに無造作に入れられていた雑貨や小物を燃えるゴミの袋に入れた。例えば、菜箸のスペアや使ってない水筒、お弁当箱なんかだったり、あるいは福袋に入ってたダサい…